カーボンフットプリントCFPマガジン vol.2(2024年3月21日)
「CFP算定が求められるわけ、基本的なCFP算定の手順」(後半)
前回の vol.1の続編となります。
■CFP算定のケース
CFP算定が求められるケースは、表1のとおり主に2つのケースあります。中小企業の場合は、前述のサプライチェーン排出量の開示に伴う下流からの圧力である「ケース2」がほとんどと思われます。
№ | 項 目 | ケース1 | ケース2 |
1 | 対象商品 | 製品及びサービス | 製品及びサービス |
2 | 対象企業 | 多くは完成品メーカ | 素材メーカ、中間製品メーカ |
3 | CFP算定要求元 | ・市場からの圧力 ・商品の環境性能の優位性確立 | ・下流(中間製品/完成品メーカ)から情報提供の要求 |
4 | 算定範囲 | 原材料調達~廃棄・リサイクルまでの全段階排出量(“Cradle to Grave”) | 多くは原材料調達~製造・出荷までの排出量(“Cradle to Gate”) |
5 | ラベル貼付け | 商品へのCFPマーク貼付け(注) →消費者へアピール | 不要 |
(注) CFPマーク使用に当たっては宣言の登録公開手続きが必要
(SuMPO環境ラベルプログラム参照)
■ 基本的なCFP算定手順
CFP算定に当たっては、製品やサービスごとのGHG排出量の算定を行います。基本的には当該の製品やサービスのサプライチェーン排出量(Scope1+Scope2+Scope3)の算定が必要です(表2のとおり)。
表2.基本的な CFP算定手順
№ | 手 順 | 実施事項 |
1 | 算定方針策定 | ・CFP算定の目的用途の明確化 ・対象とする製品の粒度、算定ルールを決定 ・国際規格ISOなどを参照して、算定ルールを作成 (製品別算定ルールがすでにあればそれを使用) |
2 | 算定範囲確定 | ・製品ライフサイクルを構成する各プロセスを明確化 ・算定範囲の決定 |
3 | データ収集算定 | ・各プロセスのGHG排出量データ収集、集計 (1次/2次データ利用による) |
4 | 検証・開示・表示 | ・検証の実施(第三者が必要か判断) ・報告書、情報開示 ・製品・サービスへの表示 |
※経産省・環境省「カーボンフットプリント ガイドライン」による https://www.env.go.jp/content/000124385.pdf
■ 実質的なCFPの算定
表1の「ケース2」においてCFP算定しようとする中小企業にとって、表2のCFP算定手順は非常にハードルが高いと言えます。下流の企業からの要求内容にもよりますが、まずは下記のような手順でCFPを試算することから始めることが良いでしょう。
<CFP算定手順>
(1)当該の製品やサービスに関して自社GHG直接排出量(Scope1+Scope2)を計測・算出する
⇒製品やサービスごとのGHG排出量の計測が難しいときは、まずは全社のGHG直接排出量(Scope1+Scope2)から生産量や売上等で按分して算出する
(2) 当該の製品やサービスに関するScope3は、外部データベースからの2次データを活用して、排出量原単位から関係する各カテゴリのGHG排出量を算出する
(3)最終的に当該の製品やサービスごとのサプライチェーン排出量(Scope1+Scope2+Scope3)を集計して、CFPを求める