カーボンフットプリントCFPマガジン vol.1(2024年3月14日)
「CFP算定が求められるわけ、基本的なCFP算定の手順」(前半)
■ カーボンフットプリントCFPに対するニーズの高まり
1.市民レベルのカーボンニュートラルに向けた取組み
政府は2050年カーボンニュートラル達成に向けて、「低炭素製品・サービス普及の後押し」と「家計における排出削減・意識改革の後押し」の両面でCFPに関する取組みを加速しています。前者は、CFPを活用して企業や家計の製品・サービス購入時の判断材料として、低炭素製品・サービス普及に向けて製造・販売する企業による積極的な開発・販売を促すことが狙いです。後者は、消費者が低炭素製品・サービスの購入で排出削減に貢献できるよう日常的にGHG排出量を意識させることで脱炭素意識を醸成することを狙っています。
2.サプライチェーン排出量の開示の義務化について
国際会計基準を策定するIFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2023年6月に公表したサステナビリティ開示基準の気候関連開示(S2)の中で、サプライチェーン排出量の開示を各企業に要請することが記されています。日本国内のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が、日本版S2基準の作成を進めており、2025年度にもサプライチェーン排出量の開示が要求される見通しです。
これに伴い、大企業ではこれまでScope3算定をデータベース活用した2次データにより簡易的に行っていましたが、今後ますます強まるサプライチェーン排出量の削減圧力に対応するため実際の実績調査を行う1次データ利用による排出量の算定が必要になってきました。
それが、サプリチェーンの上流に向かって中小企業を含む取引先にCFP算定圧力として、掛かってきます。
□ 用語説明
・サプライチェーン排出量 = Scope1+Scope2+Scope3
・Scope1、2、3
-Scope1 : 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
-Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出
-Scope3 : Scope1、Scope2以外のGHG間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
Scope3は製品ライフサイクルの段階等によって15のカテゴリに分類される
・1次データ、2次データ
- 1次データ: 取引先が実際に計測したGHG排出量データ
- 2次データ: 民間団体等が作成した各製品・サービスの平均的なGHG排出量(外部データベース等)外部データベースには産業連関ベース(3EID等)と積み上げベース(IDEA等)がある
続きは次回の更新で