カーボンフットプリントCFPマガジン vol.4(2024年9月25日)
「民間企業が展開する環境ラベル」
■ 環境ラベル「デカボスコア」
前回CFPマガジンvol.3ではCFPマークを紹介しましたが、今回は博報堂と三井物産が共同で設立したEarth hacks社が展開するGHG排出削減率をスコア化する環境ラベルを紹介します。
CFPマークは製品やサービスのライフサイクル全体のGHG排出量を可視化し、消費者に低炭素製品の選択購入を促す重要な役割があります。一方で、CFPの数値をもって他社製品の比較を行うには、それらのCFPが同一の算定ルールに基づいて算定されていることが最低条件になります。そのため製品カテゴリーごとに算定ルールを定める「PCR(Product Category Rule)」が必要ですが、同じPCRで算定しても選択する算定方法や前提条件によって少なからず変動します。したがって、現実的にCFPによって他社製品の比較を行うには、細心の注意が必要になってきます。
そういったことから、自社の従来製品と比較して新製品のGHG排出削減をアピールするのが一般的ですが、そこで注目されているのがGHG削減率を数値化した「デカボスコア」です。Earth hacks社は、2023年7月製品・サービスのGHG排出削減率を「デカボスコア」として可視化するサービスを開始し、導入事例は雑貨や食品を中心に121品目(2023年12月、100社以上)に上り、2030年までに参加企業を1,000社に広げるとしています。ちなみにデカボスコアの「デカボ」は、脱炭素を意味する「デカーボナイゼーション(Decarbonization)」の略です。Earth hacks社は、環境に配慮した製品・サービスに対して、①従来製品と比したGHG排出削減量の算定、デカボスコアとしての提供、②マーケティング支援、③EC運営・販売等を行います。
図1. デカボスコアのマーク例 (Earth hacks社ホームページより)
デカボスコアを導入した事例として、コアレックス信栄株式会社様の取り組みを紹介します。
■ コアレックス信栄株式会社様の「デカボスコア」導入事例
~ 「デカボスコア」を表示した製品の開発・販売 見える化 ~
コアレックス信栄様では 2022年11月 再生トイレットペーパーとフィルム包装のティッシュペーパーを詰め合わせた自社製品セット『SMARTFLOWER』の販売を開始しました。この製品は従来のパルプ製トイレットペーパーと比較した場合のGHG排出量の削減率を示す「デカボスコア」62%を達成し、製品の外箱に見やすく表示することでエコ意識の高い消費者に訴求しています。
図2. GHG排出削減率「デカボスコア」 62%の製品表示
このようにデカボスコアを用いることで、従来製品に比べてGHG排出削減を判りやすく消費者にアピールすることが可能になります。