2026/02/27
専門家のアドバイスによる組子技術を使ったお皿の販路開拓支援
経営課題と支援機関に相談したキッカケ
― 下請け中心からの脱却を目指して
同社は長年、住宅建設に伴う建具製造を主力としてきた。しかし住宅着工件数の減少や生活スタイルの変化により受注は次第に減少。「このままでは先細りになる」という危機感があったという。
約20年前、レーザー加工機を導入。「下請けからの脱却」を掲げ、自社製品開発に着手した。アロマ台なども開発したが、販売は伸び悩んだ。
テレビ東京の経済番組内コーナー「トレンドたまご」に3度取り上げられるなど露出は増えたものの、大きな売上には結びつかなかった。
「下請けの仕事が中心だったため、自社製品の売り方が確立できておらず、営業活動も手探りでした。」商品開発、ブランディング、営業体制――すべてを自社だけで構築するのは容易ではなかった。
― 金融機関から静岡県産業振興財団へ、そして販路支援へ深化
同社から産業財団に以前販路の相談を依頼したが、地元の信用金庫からの紹介でさらに深化。
当初は「経営革新」に関する相談が目的だったという。新たな事業展開を模索する中で、自社製品の方向性は見えつつあったが、販路開拓の具体策が定まっていなかった。
その相談の中で、販路に課題があることが明確になり、産業財団より販売戦略サポート委員会への参加を提案された。
「商品のアイデアはある。でも、どう売るかが弱かった。そこに気づかせてもらいました。」
段階的に課題を整理していく流れが、今回の支援の出発点となった。
初回相談については、こう振り返る。
「“こうすればいい”と指示するのではなく、“一緒にやりましょう”という姿勢を感じました。専門機関というと構えてしまいがちですが、思っていたよりずっと相談しやすかったです。」経営革新の相談から始まった対話は、具体的な販路開拓支援へとつながっていった。
成果
― 数字以上の手応え
支援前の商談成立目標は3件以上。
結果は8件の成約を達成。
現在、熱海・伊東・横浜などの高級旅館9~10施設との取引が始まっている。
料理皿としての採用に加え、お土産品としても採用が決定。複数の著名ホテルでの導入も進んでいる。
さらに、ホテルからの要望を受けて新商品「花差し」を開発。製品展開は広がりを見せている。
定量的成果以上に大きかったのは、意識の変化だという。
「万人受けする商品ではなく、“少数でも強く刺さる商品”をつくる。その発想に変わりました。」
“作り手目線”から“使い手目線”へ。経営の軸が明確になった。
振り返って
― 支援を受けて良かった点
「客観的に整理してもらえたこと。自分たちの強みが何か、どう伝えるべきかが明確になりました。」
また、動画制作や専用ホームページ構築に対する助成制度の活用も大きな後押しとなった。
「構想はありましたが、優先順位の整理が難しかった。支援制度を活用できたことで、計画を具体的な行動に移すことができました。」
― 印象に残っていること
「表面的なアドバイスではなく、具体的な行動レベルまで一緒に考えてもらえたことです。」
産業財団職員が継続的に関わり、方向性の整理、制作物の確認、営業展開の相談まで伴走支援を実施。
「進捗を共有しながらブラッシュアップできたことで、迷いなく前に進むことができました。」
販売戦略サポート委員会は単なる助言の場ではなく、
“実行まで設計し、成果につなげる支援の場”だった。
今後の展望
― 次の市場へ
今後は旅館業界に続き、お茶業界への展開を構想している。県庁およびChaOIプロジェクトとの連携も開始。
組子のお皿を活用したアフタヌーンティープレートの開発も検討中だ。
「まだ道半ば。でも、今は“売り方”が分かっています。」
最後に、支援を検討している企業への一言を求めると、こう答えた。
「一人で悩まず、まずは相談してみること。外の視点は必ず力になります。」
終わりに
販売戦略サポート委員会を活用し、自社の組子技術を“伝わる価値”へ転換。動画や専用WEBの整備により提案力が向上し、高級旅館を中心に採用が拡大した。助成制度と伴走支援の両輪が、下請け体質からの脱却と持続的な販路開拓を後押しした好事例である。